中年野球。

下手でもいい。でも上手くはなりたい。人間だもの。

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中年選手が「久保田スラッガー」を買うべき理由

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本日は中年野球選手のグラブ選びについて考えたい。「まずはどんなグラブを買えばいいのか?」という問題である。

 

わたしの場合は現在、久保田運道具店の「久保田スラッガー KSN-L7S Gイエロー×タン」という定価2万2680円の内野手用グラブを使っているが、あなたが久保田スラッガーを選ぶかどうかはさておき、中年野球選手の「最初のグラブ」はおおむねこのクラス(2万円前後ぐらいのブランド物)を買うべきだというのが、いきなりの結論だ。

 

「世の中にはもっと安いグラブもたくさんあるのに、なぜいきなり約2万円もの投資をする必要があるのか? 最初のうちは7000円ぐらいの売れ残り処分特売品でも十分なんじゃないか?」

 

当然そんな声もあるだろう。

 

たしかにわたくしも、7、8年前に草野球チーム設立を思い立った際は(しかし諸事情によりいったん頓挫した際は)近所のスポーツ用品店でまさに7000円ぐらいの売れ残り処分特売品を買った。ウイルソンのA700J RG744Lとかいう型番である。今にして思えばどう見ても外野手用のバカでかいサイズだ。わたしは基本内野手なのに。

 

そんなバカでかい特売格安グラブで始めた中年草野球。最初のうちは当然エラーも多く、しばらくするうちに「やっぱいいグラブ買わなきゃダメだ!」と思うに至り、千駄ヶ谷の久保田スラッガー直営店に行って前述のL7Sを購入した。直営店にて湯もみ型付けをしてもらい、そのため納期は約10日間だったと記憶している。

 

 

 

で、湯もみ型付け済み久保田スラッガーを入手した後の初練習。よく知らんけどネット情報によれば久保田スラッガーとやらは物凄くいいグラブらしいので、わたしのエラーも劇的に減るに違いない。今までは弾いていた横方向の強い当たりも吸いつくように補球できるに違いないと、練習前は思っていた。そして実際はどうだったか?

 

何も変わらなかった。

 

格安売れ残りウイルソン(外野手用)を使っていたときとまったく同じように、内野手のわたしはエラーを重ね、格安ウイルソンと同じように希に好捕を見せた。

 

これは当然ながら「久保田スラッガーL7Sがダメなグラブである」という話ではなく、それを使いこなす技量がわたしになかったっちゅうか、「下手クソは何使ったって同じ」というごく当たり前の真実である。

 

例えばわたしはプロの著述業者であるため、職業として文章を書く際はPCの「キーボード」にはかなりこだわる。具体的にはキーのストロークが短めで(しかし短すぎるわけでもなく)、タッチに剛性感があるもの。で、全体のサイズがやや小さめなもの。わたしはそういったキーボードを使わないとストレスにより思考のスピードが落ち、結果として文章の質も(たぶん)下がってしまう。わたしごときと比べるのも失礼な話だが、プロ野球選手がグラブやバットにこだわるようなものだ。

 

しかしこれがプロではない著述業志望者やド素人である場合は、「……キーボード云々の前に、まずは文章作成の基本をなんとかせいや」という話になる。それと同じで、ド素人中年野球選手(志望者)であるわたしやあなたの場合は「久保田スラッガー云々の前に、まずは守備の基本をなんとかせいや。話はそれからだ」というのが本当は正しい。

 

つまり、久保田スラッガーであるかないかにかかわらず「2万円級のグラブ」など最初のうちは不要で、1万円未満の特売品でも機能的には全然十分なのだ。

 

それなのになぜ、冒頭のとおり「中年野球選手の最初のグラブはおおむねこのクラス(2万円前後ぐらいのブランド物)を買うべきだ」という結論になるのか?

 

それは「安いのを買っても、どうせ早晩99.99%の確率で2万円クラスのグローブに買い替えることになるから」だ。

 

腕もないくせに道具の質やブランドにこだわり、そして中途半端な可処分所得は持っているのが我々おっさんの特徴だ。そういったおっさん界のなかで、達観したつもりで「まあ最初は数千円の無名グラブで十分ですよ、わはは」などとやっていても、どうせそのうちソッコーでチームメイトが持っている久保田スラッガーやハタケヤマ、ミズノの上級ラインなどを羨望の眼差しで見つめるようになり、そして気がついたときにはそれらのうちどれかを買っているのだ。

 

おっさんとはそういう生き物であり、素人ロックバンドにしても、大して上手くもない中年ギタリストたちはたいてい結構いいエレキギターをぶらさげている。かく言うわたしのギターもフェンダーUSAのカスタムショップであり、以前はマスタービルダーという最上級ラインも持っていた。上手くもないのに、お恥ずかしい限りである。

 

エニウェイ、数千円のグラブを買ってもどうせそのうちすぐに2万円クラスのに買い替えることになる。であるならば、「数千円+約2万円=2万数千円」という出費よりも「約2万円のみ」という出費のほうが経済的であることは火を見るよりも明らかだ。こういった経済的リアリズムに基づき、わたしは「最初から買っちゃいなさいよ」とオススメするのである。

 

で、そういった2万円級のグラブというのはやっぱり見てるだけでも嬉しく、そしておっさんならではの所有欲やコレクター欲みたいなものも満たしてくれる。また、草野球を辞めずに続けていく動機づけの一つにもなるだろう。ということで、もしも悩んでいるならYOU、イイの買っちゃいなヨ!