読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

中年野球。

下手でもいい。でも上手くはなりたい。人間だもの。

<

アナーキー・イン・ザ・公園

上達法

f:id:sgt_date:20160128173544j:plain

前回、守備上達のキモとして「素守備のすゝめ」を説いた。

 

素守備とは要するに「エア守備練習」のことであり、その様子を周囲の者が冷静に観察すると以下のようになる。

 

早朝の公園でおっさんが一人、いきなり中腰になったかと思うとダダダッと斜め前方にダッシュし、左手を下方にサッと出す。で、出したかと思ったらそれを即座に胸のあたりに持ってきて、タタンッと身体をターンをさせたのち、なぜか右腕をビュンと振る。

 

それを何度か繰り返したかと思うと今度はそのおっさん、中腰の体勢からクワッと上空をにらみつけ、半身になって斜め後方にいきなり走りだす。で、5mほど走ったところで左手を顔の横あたりに出して「よし!」などとつぶやき、ひとりニヤニヤしている。

 

……完全にヤバい人である。通りがかりの人はそういった痴れ者をなるべく見ないようにするだろうし、なんなら警察に通報したくなるかもしれない。……大丈夫なんだろうか、早朝の公園でそんな「素守備」などという頓狂な真似をしても? 通報され、不審人物として職務質問を受けるハメになるのではないか?

 

そう心配になる人もいるだろうが、しかし大丈夫なのである。中年野球選手各位はそんな心配などせず、どんどん素守備に励んでいただきたい。

 

 

 

なぜそう言い切れるのか? それは、早朝の公園というのはあなたが思っている以上にアナーキーな(無政府状態な)場所だからである。アナーキーな場所では、頓狂なムーブに励むあなたのことなど誰も気にしないのだ。

 

もちろん場所によって細かな違いはあるが、今、早朝の公園がどうなっているのか、その実態を具体的に描写してみよう。

 

ごく普通にランニングやストレッチなどをしている人も当然いるが、あちらのほうでは売れない芸人さんがリハでもしているのだろうか、男が何やら早口でしゃべりながら「どないやねん!」などと言いつつエアツッコミをしている。またある片隅ではヒップホップ的ダンスの練習を(BGMなしで)激しく続ける青年がいて、鉄棒のあたりには見たこともない謎の筋トレをしているおじいさんがいる。ひたすら太極拳に励むマダム、台本合わせをする中学か高校の演劇部員らしき少女たち。園内は禁煙だっちゅうのに構わずタバコをうまそうに吸ってるおっさん。勝手に敷地を陣取ってゲートボールに高じるじいさんたち……。

 

そのようにほとんど無秩序ともいえるカオス状態になっているのだが、不思議といさかいやトラブルはほとんど起きず、不思議な調和がとれた状態で、各自が好き勝手なことをしている。

 

それが、朝6時から7時ぐらいにかけての比較的大規模な公園だ。

 

それゆえ、わたしやあなたが一見摩訶不思議なムーブで素守備を繰り返したところで、誰も何も思わないのである。これが日中の時間になるともうちょっと秩序だったというか、「やーねあのおじさん、タバコなんか吸って……」みたいな空気感が生まれてくるのだが、早朝なら大丈夫なのである。何の問題もない。

 

早朝の公園はピストルズのようにアナーキーであり、ニューヨークの街のように自由かつ個人主義的なのだ。

 

……いや実はニューヨークに行ったことないんで、詳しくは知らんのですが。